2019 年 39 巻 7 号 p. 1213-1216
症例は57歳男性で,右下腹部痛を主訴に当院内科を受診し,腸閉塞疑いで保存加療に不応のため当科へ紹介。腹部造影CTで盲腸背側にclosed loopを呈する小腸を認め,絞扼性腸閉塞が疑われ,翌日,緊急手術を施行した。盲腸背側に約2cmの裂孔を認め,Treitz靭帯より140cm肛門側の小腸が10cmにわたり陥入しており,盲腸後窩ヘルニア嵌頓と診断した。裂孔を開放後,嵌頓を解除し,腸管を切除することなく手術を終了した。術後経過は良好で,術後8日目に退院となった。盲腸後窩ヘルニアは内ヘルニアのなかでも比較的まれであるが,緊急手術を要することがある。今回,われわれは盲腸後窩ヘルニアの1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。