日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
腹膜垂炎7例の検討
田中 優衣伊藤 康博上村 翔杉浦 清昭岸田 憲弘瀨尾 雄樹田中 求戸倉 英之御須 学高橋 孝行
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キーワード: 腹膜垂炎, 原発性, 続発性
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2019 年 39 巻 7 号 p. 1263-1266

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抄録

【はじめに】腹膜垂炎は保存的加療で軽快する予後良好な疾患である。今回われわれは,腹膜垂炎と診断された7例を経験したので,文献的考察を加え報告する。【対象と方法】当院でCTで腹膜垂炎と診断された7例の臨床所見および画像的特徴について検討した。【結果】男性1例,女性6例で,年齢は中央値36歳(22~83歳)。全例腹痛を認め,白血球数とCRPは正常値もしくは軽度上昇を認める程度であった。発症部位は下行結腸4例,上行結腸2例,S状結腸1例で左側結腸に多くみられた。原因としては,原発性を6例,続発性を1例に認めた。続発性腹膜垂炎の症例では,血液検査所見で他症例と比較し炎症反応が高値であった。治療は6例で保存的加療を行ったが,術前虫垂炎と診断された1例では手術を行った。【考察】腹膜垂炎は発症部位または続発性腹膜垂炎の場合の鑑別に難渋することがあるため,本疾患を念頭に置き適切な加療を行うことが重要である。

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© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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