日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
小腸癌を合併した胆石性腸閉塞の1例
諸藤 教彰
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キーワード: 胆石性腸閉塞, 小腸癌
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2019 年 39 巻 7 号 p. 1267-1269

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抄録

患者は胆石症の既往のある88歳女性。腹痛,嘔吐で当院紹介。CT検査で小腸内に3.5cm大の結石像,その口側腸管の拡張,胆囊内に結石像を認めないことから胆石性腸閉塞と診断した。患者は3年前のCT検査でも小腸内の結石像を指摘されていたが,高齢で無症状のため経過観察とされていた。自然排石は困難と考え,緊急手術を施行した。Bauhin弁から約50cmの部位で5cm大の腫瘤形成を認め,小腸部分切除術を施行。摘出小腸を切開し嵌頓した胆石を除去したところ,小腸壁に陥凹性病変を認め,病理検査でリンパ節転移を伴う原発性小腸癌と診断された。胆石性腸閉塞に小腸癌を合併した症例は非常にまれで,小腸内で胆石が長期的に停滞した刺激が発癌を促し,結石増大に伴い胆石性腸閉塞を発症したと推測され,自然排石されなければ無症状でも腸管内結石は積極的に治療を行うべきと思われた。

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© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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