2019 年 39 巻 7 号 p. 1271-1274
症例は63歳男性。S状結腸軸捻転症に対してHartmann手術後。受診3日前より便秘を認め,腹部膨満が出現し当院を受診した。腹部CTで腸管異常拡張と腹水を認め,絞扼性腸閉塞の診断で緊急手術を施行した。人工肛門挙上腸管と側腹壁の間に間隙が存在し,小腸が挙上腸管に巻絡していた。巻絡に伴う絞扼を解除後に壊死した小腸を切除,原因となった間隙を閉鎖し手術を終了した。退院後9ヵ月再燃なく経過している。自験例は,挙上腸管と腹壁との間の広い間隙を経由し,挙上腸管に小腸が巻絡し絞扼を生じた。結腸人工肛門造設の際に腹膜内経路を選択した場合は,自験例のような特殊な絞扼性腸閉塞が生じ得ることを考慮し,間隙を作らない配慮が必要であった。人工肛門造設手技を再考させられる教訓的な症例であると考える。