日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
症例報告
癒着のためにポート位置を工夫し腹腔鏡下に摘出し得た胆囊捻転症の1例
花岡 俊晴岡﨑 靖史平田 篤史水藤 広佐藤 公太篠藤 浩一尾崎 正彦松原 久裕
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 39 巻 7 号 p. 1275-1278

詳細
抄録

症例は71歳女性。腹痛,嘔吐を主訴に当院受診,来院時Murphy sign陽性。右側結腸切除の既往があり15cmの右側腹部縦切開創を認めた。CTで胆囊の浮腫状変化,総胆管拡張,乳頭部の造影効果を認めたためMRCP,ENBD造影を施行。総胆管結石を認めず,胆囊管の途絶を認め胆囊捻転症と診断。同日緊急手術を行った。右側腹部~上腹部の高度癒着を認め,ポート位置を臍,心窩部,左季肋下,左下腹部とした。胆囊はうっ血し,反時計回りに180度捻転していた。胆囊床と癒着しておらずGrossⅡ型の胆囊捻転症と診断。捻転を解除し腹腔鏡下で胆囊摘出を行った。手術時間は92分,出血は少量であった。術後経過良好で第6病日退院となった。胆囊捻転症は比較的まれな疾患であり,今回われわれは高度癒着を認めたがポート位置を工夫し腹腔鏡下に胆囊摘出し得た胆囊捻転症の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。

著者関連情報
© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
前の記事 次の記事
feedback
Top