2019 年 39 巻 7 号 p. 1275-1278
症例は71歳女性。腹痛,嘔吐を主訴に当院受診,来院時Murphy sign陽性。右側結腸切除の既往があり15cmの右側腹部縦切開創を認めた。CTで胆囊の浮腫状変化,総胆管拡張,乳頭部の造影効果を認めたためMRCP,ENBD造影を施行。総胆管結石を認めず,胆囊管の途絶を認め胆囊捻転症と診断。同日緊急手術を行った。右側腹部~上腹部の高度癒着を認め,ポート位置を臍,心窩部,左季肋下,左下腹部とした。胆囊はうっ血し,反時計回りに180度捻転していた。胆囊床と癒着しておらずGrossⅡ型の胆囊捻転症と診断。捻転を解除し腹腔鏡下で胆囊摘出を行った。手術時間は92分,出血は少量であった。術後経過良好で第6病日退院となった。胆囊捻転症は比較的まれな疾患であり,今回われわれは高度癒着を認めたがポート位置を工夫し腹腔鏡下に胆囊摘出し得た胆囊捻転症の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。