日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
腹膜垂出血により出血性ショックをきたした1例
小野 武比嘉 聡平田 勇一朗加藤 航司川上 浩司仲地 広美智
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2019 年 39 巻 7 号 p. 1293-1295

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抄録

症例は77歳,男性。腹痛を主訴に当院へ救急搬送された。来院時,血圧低下を認めショック状態であった。血液検査で貧血と腎機能障害を認めた。腹部造影CTで腹腔内全体に広がる血性腹水とS状結腸間膜近傍からのextravasationを認め,S状結腸間膜からの腹腔内出血と診断し緊急手術を施行した。開腹すると腹腔内に多量の血腫を認め,出血部位はS状結腸の腹膜垂であった。出血している腹膜垂を刺通結紮し止血を得た。術後肺炎を併発し,人工呼吸器管理となったが軽快。第20病日,前医へ転院となった。腹膜垂から腹腔内のfree spaceへの出血が主病態となる症例は,本邦での報告例はなく,極めてまれな症例であるため報告する。

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© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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