日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
症例報告
十二指腸潰瘍穿孔の術後縫合不全に対する再手術として十二指腸憩室化が有効であった1例
勝又 健太小林 慎二郎小泉 哲天野 優希井田 圭亮丹波 和也土屋 淳一小野 龍宣瀬上 航平星野 博之片山 真史大坪 毅人
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 39 巻 7 号 p. 1303-1305

詳細
抄録

症例は67歳男性。右側腹部痛を主訴に当院へ救急搬送,十二指腸穿孔の診断で緊急手術を施行した。十二指腸球部に約半周性の穿孔部を認め,単純閉鎖を施行した。術後4日目にドレーンから腸液の排出を認め,汎発性腹膜炎を呈し,緊急での再手術となった。単純閉鎖した縫合部は完全に離開しており,穿孔部周囲の汚染が高度であったので再縫合は危険と判断し,十二指腸憩室化を行った。再手術後6日目に前上膵十二指腸動脈からの出血をきたし,緊急血管内治療を行った。その後,ドレーン管理に時間を要したが再手術後第78病日で退院となった。胃十二指腸潰瘍穿孔はプロトンポンプ阻害薬が普及した現在,穿孔部縫合閉鎖および大網被覆で軽快する症例も多いが,ときとしてこれらの術式のみでは良好な経過が得られない症例が存在する。今回われわれは,十二指腸潰瘍穿孔術後縫合不全に対する再手術として十二指腸憩室化が有効であった症例を経験したため報告する。

著者関連情報
© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
前の記事 次の記事
feedback
Top