日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
症例報告
虫垂粘液性囊腫軸捻転症の1例
上村 翔藤田 晃司菊永 裕行三浦 弘志森永 正二朗熊井 浩一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 40 巻 1 号 p. 35-38

詳細
抄録

症例は48歳,男性。心窩部痛と右下腹部痛を主訴に当院を受診した。身体所見上は,右下腹部に圧痛と反跳痛を認めた。血液検査所見では炎症反応上昇を認め,腹部造影CT検査で盲腸から骨盤内右側まで連続する拡張した囊胞性病変とwhirl signを認めることより,虫垂粘液性囊腫軸捻転症と診断し,緊急開腹手術を施行した。手術所見は,虫垂が粘液で拡張し時計方向に720度捻転していた。捻転を解除した後,自動縫合器で虫垂切除を施行した。悪性の可能性も否定できなかったため回盲部切除(D1郭清)を施行した。摘出標本の内腔は大量の粘液性物質で充満されており,病理組織学的所見は,虫垂壁の先端側2/3が捻転によると思われる充血と出血を認め,粘液囊胞腺腫様の像であった。今回,急性腹症で発症した虫垂粘液性囊腫軸捻転症の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

著者関連情報
© 2020, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
前の記事 次の記事
feedback
Top