2020 年 40 巻 1 号 p. 39-43
症例は63歳の女性で,61歳時に胆囊結石症に対し腹腔鏡下胆囊摘出術(以下,LC)を施行された。術後6ヵ月目に右側腹部痛が出現したため当院を受診し,CTおよびMRIで右腹壁内側と右横隔膜下にそれぞれ長径35mmと10mmの不整な腫瘤を認めた。LC後の遺残膿瘍と考えられ,CTによる経過観察を行う方針とした。初診から3ヵ月後のCTで腫瘤はいずれも増大しており,さらに右腹壁腫瘤は右大腰筋への浸潤が疑われ,悪性腫瘍が否定できない所見であった。初回手術から1年3ヵ月後に右腹壁腫瘍および右横隔膜下腫瘍摘出術を施行した。いずれの摘出標本も内部に膿瘍の形成と長径約5mmの結石を認めた。腫瘍に明らかな悪性所見はなく肉芽腫と診断され,また結石は胆汁由来であった。以上より初回手術時の落下結石に起因した肉芽腫の診断となった。遺残落下結石を核とした腹腔内肉芽腫を形成したまれな1例を経験したため,文献的考察を加え報告する。