2020 年 40 巻 3 号 p. 461-464
症例は35歳,女性,妊娠38週。心窩部痛を主訴に救急外来受診も一旦改善し帰宅。翌日近医産婦人科を受診し,当院産婦人科に救急搬送された。腸閉塞が疑われ腹部CT施行したが明らかな絞扼はなく保存的治療目的に入院となる。その後,陣痛が起こり,入院10時間後に経膣分娩となったものの,分娩後も腹部症状の改善を認めなかった。翌日腹部CT再検し絞扼性腸閉塞と診断し緊急手術を施行した。S状結腸間膜窩に小腸が嵌頓,絞扼されていた。絞扼された小腸の非可逆的壊死は認めなかったので小腸切除は行わなかった。ヘルニア門については縫合閉鎖した。術後経過は問題なく術後7日目で退院となった。S状結腸間膜窩ヘルニアは比較的まれな疾患で,妊娠,産褥期に発症した報告例は自験例を含め3例を認めるのみだった。今回われわれは妊娠中に発症したS状結腸間膜窩ヘルニアを経験したので若干の文献的考察を加え報告する。