日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
魚骨による消化管穿孔・穿通に対して保存的に対応した3例:初期治療後の長期経過について
石岡 秀基高橋 眞人中村 侑哉八重樫 瑞典伊藤 千絵皆川 幸洋遠野 千尋
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キーワード: 魚骨, 保存的治療
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2020 年 40 巻 3 号 p. 491-494

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抄録

魚骨による消化管穿孔・穿通に対する保存的治療の報告が増えているが,長期経過に関する報告はほとんどない。今回われわれは魚骨による消化管穿孔・穿通に対して保存的に対応し,長期的に経過をみた3例を経験した。症例1は83歳男性。上腹部痛で発症した魚骨による十二指腸穿通に対して保存的治療を行い,症状は改善し,2年間再燃していない。症例2は55歳男性。左側腹部痛で発症した魚骨による消化管穿孔,腹腔内膿瘍に対して保存的治療を行い,症状は改善した。3年後に腹腔内膿瘍が再燃して手術を行い,術後1年間再燃していない。症例3は48歳男性。偶然施行したCTで魚骨による十二指腸穿孔が疑われた。保存的に経過をみているが,1年間無症状である。魚骨による消化管穿孔・穿通では保存的治療が選択肢の1つになり得るが,魚骨が遺残した場合は年単位での膿瘍再燃リスクがあるため,十分なインフォームド・コンセントのもとで行われるべきである。

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© 2020, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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