2020 年 40 巻 4 号 p. 589-592
症例は77歳男性。突然の腹部痛を主訴に当院救急外来を紹介受診した。腹部全体に強い自発痛と圧痛を認め,腹部造影CTで小腸間膜の捻転所見(whirl sign)とS状結腸のclosed loop像を認めた。同日緊急手術を施行し,小腸捻転解除術とS状結腸の腸閉塞解除術を行った。小腸が腸間膜根部を中心に約180度回転しており,S状結腸がTreitz靭帯近傍に嵌入する形で絞扼を生じていた。腸管壊死は認めず,腸管の整復のみで終了した。他に軸捻転の原因となりそうな索状物や癒着,先天異常などは認めなかったので,S状結腸の絞扼を合併した原発性小腸軸捻転症と診断した。本邦では成人の原発性小腸軸捻転症は比較的まれな疾患であり,とくにS状結腸の絞扼を合併した例は極めてまれである。絞扼性腸閉塞の合併であり,治療の時期を逸すると致命的な経過をたどることもあるため,早急な診断と治療が必要である。