日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
早期に診断し緊急腹腔鏡下に治療した盲腸周囲ヘルニアの1例
廣澤 貴志金子 直征小林 照忠舟山 裕士
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2020 年 40 巻 5 号 p. 677-679

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抄録

症例は86歳,女性。幼少期に虫垂切除術の既往があった。突然の右下腹部痛を訴え,救急搬送された。腹部造影CT所見で,盲腸の背外側にclosed–loopを形成した拡張小腸を認め,その口側腸管も拡張していた。小腸嵌頓を伴う盲腸周囲ヘルニアの診断で,発症から約5時間後に腹腔鏡下に緊急手術を開始した。虫垂切除後の癒着とは別部位の盲腸外側に直径約2cmのヘルニア門を認め,小腸が嵌入していた。小腸の嵌頓を解除したところ,嵌入小腸は約10cmに及んでいたが,温存可能であった。再発予防のため,ヘルニア門を切開して開大した。術後経過は良好で,第12病日に退院した。盲腸周囲ヘルニアは,腸閉塞症の原因としては比較的まれであるが,特徴的なCT所見により術前診断は可能で,早期の腹腔鏡下手術による低侵襲治療が有用であると考えられる。

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© 2020, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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