日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
腸重積をきたした低異型度虫垂粘液腫瘍に対し回盲部切除施行した1例
池田 直隆北薗 正樹豊﨑 良一上村 真弓大山 智宏
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2020 年 40 巻 5 号 p. 685-688

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抄録

症例は62歳女性。腹痛を主訴に近医受診し,CTで腸重積を疑われて当院紹介となった。腸管血流評価目的に当院で造影CT施行。石灰化を伴う先進部が上行結腸に嵌入している像が認められ,腸重積と診断した。また横行結腸の浮腫と周囲の腹水が認められ,血流障害が疑われたため同日緊急手術の方針とした。手術は開腹による回盲部切除ならびに所属リンパ節郭清を施行した。切除標本では虫垂突起ははっきりせず,同部位に粘液貯留を認めた。病理組織検査では腫瘍表層部の一部に虫垂由来の絨毛状腺管の圧排性増殖巣を認め,low–grade appendiceal mucinous neoplasm(LAMN)の組織像を呈していた。連続して浸潤性の粘液腺癌の全層性浸潤増殖がみられた。今回われわれは,虫垂粘液腫瘍嵌入による腸重積に対して緊急回盲部切除が有用であった1例を経験したので,若干の文献的考察も加えて報告する。

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© 2020, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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