2020 年 40 巻 6 号 p. 735-738
症例は80歳,女性。慢性腎不全に対し血液透析中で,慢性便秘症であった。発熱と下腹部痛を主訴に当院へ救急搬送され,CTを撮影したところS状結腸に多量の便塊を認め,S状結腸を中心にfree airを認めた。S状結腸穿孔と診断し,緊急手術を行った。腹腔内を観察するとS状結腸に4cm大の穿孔を認め,便塊が腸管外へ露出していた。腸管内の便を可及的に摘出後,穿孔部を含めたS状結腸を切除し,単孔式人工肛門を造設した。術後は人工呼吸器管理下とし,エンドトキシン吸着療法などの集中治療を行い救命し得た。経過は良好で,術後37日目に自宅退院した。病理組織学的検査では,穿孔部に特異的な所見なく,宿便性S状結腸穿孔と診断した。宿便性大腸穿孔は硬便により大腸壁が圧迫壊死に陥る比較的まれな急性腹症の1つである。透析患者に発症した宿便性S状結腸穿孔の1例を経験したので報告する。