2020 年 40 巻 6 号 p. 759-761
有鉤義歯は食道穿孔などの合併症を起こす危険性が高く,もっとも内視鏡的摘出が困難とされる消化管異物である。今回,胃内に停滞した有鉤義歯に対し内視鏡的摘出を試み,食道内腔に嵌頓し緊急手術を要した症例を経験した。症例は56歳,男性。有鉤義歯を誤飲し前医を受診した。義歯は胃内に存在し内視鏡的摘出を試みたがオーバーチューブ内に収まらず,回収の際に胸部中部食道で内腔に嵌頓し固定され,当院へ紹介受診となった。CTで食道穿孔や縦隔炎を疑う所見は認めず,再度の内視鏡的摘出でも回収不能であったため,緊急胸腔鏡下食道異物摘出術を施行した。食道壁を約2cm縦切開し全長7.5cmの義歯を摘出し,縫合閉鎖を行った。大きな誤飲有鉤義歯は内視鏡的摘出により食道内腔に嵌頓する危険性がある。内視鏡的摘出が困難と思われる胃内に停滞した誤飲有鉤義歯に対しては,積極的に経胃的摘出を選択することが重要であると考えられた。