2020 年 40 巻 6 号 p. 755-758
症例は44歳,女性。統合失調症で外来加療中,便秘症に対し緩下剤で加療されていた。高度の腹部膨満と腹痛を主訴に近医を受診し,閉塞性腸炎として消化器内科に紹介され入院となった。直腸狭窄が疑われ大腸内視鏡検査が施行されたが粘膜病変を認めず,保存的加療が開始された。入院翌日未明に急激な腹痛増強と血圧低下を呈し,消化管穿孔と診断され当科に紹介された。敗血症性ショック,DICを呈しており緊急手術を施行した。全結腸の著明な緊満と左側結腸の壊死を呈し,横行結腸左側腸間膜対側に穿孔部があり多量の便が噴出していた。また,直腸S状部腸間膜側に線維化を伴う引きつれを認め,狭窄部と判断。同部を含めて切除したハルトマン手術を施行し,集学的治療で救命し得た。病理検査で,狭窄部直腸に子宮内膜腺管と間質組織を認め,直腸子宮内膜症の診断を得た。妊孕期女性の便秘症に対しては腸管子宮内膜症を念頭に置く必要があると思われた。