2020 年 40 巻 6 号 p. 763-765
症例は67歳女性,3日前からの軽快と増悪を繰り返す右側腹部痛で受診した。腹部造影CT検査では右側腹部に脂肪成分を主体とした腫瘤性病変およびその内部の血管が渦を巻く所見を認め,その中心に位置する静脈を追跡し同血管が大網静脈であることを認識した。大網捻転症と診断し,腹腔鏡手術を施行した。術中所見では,右側腹部に暗赤色へ色調変化をきたした大網が腫瘤を形成しており,連なる正常大網が反時計回りに捻転していた。鼠径ヘルニアや癒着は認めなかった。腫瘤を形成した大網は壊死が疑われたので切除した。病理組織結果では部分的な大網壊死を認めたが,器質的疾患は認めず,特発性大網捻転症と診断した。特発性大網捻転症は比較的まれな疾患で,術前診断が難しいとされる。自験例ではCTで血管を追跡することで術前診断できた。正診さえできれば腹腔鏡手術は容易であり,本疾患を鑑別にあげた画像読影が重要と考えられた。