2021 年 41 巻 1 号 p. 45-48
71歳,男性。黒色便と労作時のふらつきを主訴に当院を受診した。Hbは6.7g/dLであった。造影CTで小腸に腸重積を認め,先進部に腫瘤性病変を認めた。小腸腫瘍による腸重積と診断し,緊急手術の方針とした。開腹し全小腸を観察すると,重積は自然解除されていた。回腸末端から110cm口側に20mm大の腫瘤性病変を触知した。腫大リンパ節や肝転移,腹膜播種を認めなかった。リンパ節郭清は行わず小腸部分切除術を施行した。術後8日目に退院した。病理学的検査で小腸neuroendocrine tumor(以下,NET)G1と診断した。現在,外来経過観察中である。小腸neuroendocrine neoplasm(以下,NEN)は本邦では消化器NENの2.2%とされる。腸重積を伴う小腸NETの報告は自験例を含めて7例のみである。今回経験した腸重積を伴う小腸NETはまれな病態であり,文献的考察を加えて報告する。