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川北 航平, 瀬木 祐樹, 奥田 善大, 河埜 道夫, 近藤 昭信, 田中 穣
2021 年41 巻1 号 p.
29-32
発行日: 2021/01/31
公開日: 2021/08/20
ジャーナル
フリー
保存的治療で改善せず腹腔鏡手術を行った横行結腸巨大憩室炎の1例を経験した。【症例】74歳男性。発熱,腹痛を主訴に来院。来院時,体温37.7℃,臍右側に圧痛を伴う腫瘤を触知した。血液検査では白血球数17,200/mm3,CRP 29.3mg/dLと上昇を認めた。腹部造影CT検査では横行結腸中央部に70mm大の巨大憩室を認めた。憩室壁は肥厚し周囲脂肪織の炎症を反映した被膜様構造を認めたが,腹水や遊離ガス像は認めなかった。横行結腸巨大憩室炎の診断で入院,抗生剤投与を開始後も腹部症状が持続したため,入院3日目に腹腔鏡下横行結腸部分切除術を行った。切除標本では憩室は横行結腸の腸間膜対側に開口しており,病理組織学的検査では高度の炎症を伴った仮性憩室と診断された。【結語】巨大結腸憩室は憩室炎や穿孔をきたす可能性があり,診断がついた時点で外科的切除を行うことも選択肢の1つになり得る。
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赤木 晃久, 石田 尚正, 浦上 淳, 髙岡 宗徳, 吉田 和弘, 羽井佐 実
2021 年41 巻1 号 p.
33-36
発行日: 2021/01/31
公開日: 2021/08/20
ジャーナル
フリー
症例は70歳男性。糖尿病性腎症による慢性腎不全で17年前から血液透析中で,高リン血症のためカルシウム非含有リン吸着薬であるセベラマー塩酸塩を内服中であった。近医で透析中に好中球の左方偏位とCRPの著明な上昇を指摘され,精査目的で当院へ紹介された。右下腹部に軽度の圧痛を認めたが,腹膜刺激症状は認めなかった。腹部CTで腸管外遊離ガスを認めたため,緊急開腹手術を施行した。空腸の腸間膜側に多発する憩室を認め,Treitz靭帯から1.1mの空腸の憩室が腸間膜に穿孔穿通していた。穿通部を含めて約30cmの空腸を切除し端々吻合した。病理所見では穿孔部に一致してセベラマー塩酸塩の結晶を認めた。術後経過は良好で18日で退院した。セベラマー塩酸塩の注意すべき合併症として報告する。
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松岡 信成, 星川 竜彦, 植松 陽介, 江口 正信
2021 年41 巻1 号 p.
37-40
発行日: 2021/01/31
公開日: 2021/08/20
ジャーナル
フリー
症例は81歳男性。9年前に右腎癌に対して根治術を施行されていた。上下部消化管内視鏡検査で出血源を同定できない,原因不明の貧血の精査目的に紹介受診となった。体幹部ダイナミックCTで上部空腸に腫瘍濃染像を認め,同部位が出血源と考えられ,緊急開腹手術を施行した。術中所見ではTreitz靭帯から100cmの上部空腸に一部漿膜側に露出するような1.5cm大の腫瘤を認め,同部位を含むように小腸部分切除術を施行した。病理組織学的検査の結果,9年前の右腎癌の異時性転移と診断された。腎癌は切除後長期間が経過した後に他臓器への転移をきたすことが知られている。小腸転移は本邦では比較的まれな病態であるが,貧血や腸重積などを契機に発見されることが多い。若干の文献的考察を添えて報告する。
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成田 潔, 登内 仁, 町支 秀樹
2021 年41 巻1 号 p.
41-44
発行日: 2021/01/31
公開日: 2021/08/20
ジャーナル
フリー
症例は69歳女性,下腹部痛で救急外来を受診した。腹部造影CTで,骨盤内に長径86mmの内部に出血を伴う腫瘤性病変が指摘され,精査目的に当科へ紹介された。MRIでは腫瘤は超急性期の血腫が主成分と考えられ,S状結腸を壁外から圧排しているようにみえた。卵巣腫瘍の腫瘍内出血を疑い,入院5日目に婦人科と合同で試験開腹術を施行した。術中所見では婦人科臓器は正常で,多量の血性腹水およびS状結腸の腸間膜側に手拳大の腫瘤を認め,S状結腸部分切除術を施行し腫瘤を摘出した。病理組織学的検査では粘膜病変を認めず,漿膜下層に血腫を認めた。外傷歴や出血性疾患なく,摘出標本内に腫瘍性病変や血管病変を認めなかったことから,特発性S状結腸壁内血腫と診断した。大腸壁内血腫は比較的まれで,その多くが外傷や抗血栓薬内服によるものであり,自験例のような特発性は本邦7報告目である。非常にまれと考えられたので報告する。
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上田 正射, 池永 雅一, 佐藤 豪, 田口 大輔, 福島 菖子, 關口 奈緒子, 高 正浩, 津田 雄二郎, 中島 慎介, 谷田 司, 山 ...
2021 年41 巻1 号 p.
45-48
発行日: 2021/01/31
公開日: 2021/08/20
ジャーナル
フリー
71歳,男性。黒色便と労作時のふらつきを主訴に当院を受診した。Hbは6.7g/dLであった。造影CTで小腸に腸重積を認め,先進部に腫瘤性病変を認めた。小腸腫瘍による腸重積と診断し,緊急手術の方針とした。開腹し全小腸を観察すると,重積は自然解除されていた。回腸末端から110cm口側に20mm大の腫瘤性病変を触知した。腫大リンパ節や肝転移,腹膜播種を認めなかった。リンパ節郭清は行わず小腸部分切除術を施行した。術後8日目に退院した。病理学的検査で小腸neuroendocrine tumor(以下,NET)G1と診断した。現在,外来経過観察中である。小腸neuroendocrine neoplasm(以下,NEN)は本邦では消化器NENの2.2%とされる。腸重積を伴う小腸NETの報告は自験例を含めて7例のみである。今回経験した腸重積を伴う小腸NETはまれな病態であり,文献的考察を加えて報告する。
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河野 秀俊, 寺崎 正起, 鈴村 潔
2021 年41 巻1 号 p.
49-52
発行日: 2021/01/31
公開日: 2021/08/20
ジャーナル
フリー
症例は73歳,男性。腰痛,食後の腹痛を主訴に当院救急外来を受診した。胸腹部造影CT検査でDeBakeyⅢb型の急性大動脈解離を認め,上腸間膜動脈にも解離が及んでいた。破裂の所見はなく腸管壁の造影も良好であり,血圧のコントロールを行いながら保存的治療の方針となり入院加療となった。入院後6日目に右下腹部痛を認め,腹部造影CT検査で右側結腸の壊死を疑い緊急開腹手術を施行した。壊死している右側結腸を切除し,2連銃式人工肛門を造設した。術後の経過は良好で術後40日後に退院となった。急性大動脈解離による腸管壊死は致死率が高く手術を施行しても救命困難なことが多い。若干の文献的考察を踏まえ報告する。
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前田 光貴, 田端 正己, 中邑 信一朗, 中村 俊太, 瀬木 祐樹, 藤村 侑, 小林 基之, 岩田 真, 三田 孝行
2021 年41 巻1 号 p.
53-58
発行日: 2021/01/31
公開日: 2021/08/20
ジャーナル
フリー
成人の大腸重積症は比較的まれだが,その多くは大腸癌が原因であり,成人の大腸重積症では常に大腸癌の可能性を念頭に置く必要がある。しかし,若年成人の大腸癌罹患率は低く,若年成人が腸重積を契機として大腸癌が発見されることは極めてまれである。今回われわれは腸重積を契機に発見された若年性大腸癌の1例を経験したので報告する。症例は20歳の男性で,下血を主訴に当院を紹介受診された。腹部エコーおよび造影CT検査でS状結腸腸重積と診断されたが,腫瘤は指摘できなかった。下部消化管内視鏡検査施行時には重積は解除されており,S状結腸に1型腫瘍が認められた。生検でS状結腸癌と確定診断され,腸重積は解除されていたため,待機的に腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した。術後経過は良好で,術後14日目に退院された。術後補助療法は施行せず経過観察しており,術後48ヵ月の現在無再発生存中である。
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藤井 一喜, 中多 靖幸, 關 匡彦
2021 年41 巻1 号 p.
59-62
発行日: 2021/01/31
公開日: 2021/08/20
ジャーナル
フリー
66歳女性。来院8日前から不正性器出血を認め,前医婦人科で子宮頸部腺癌(Ⅱ期)と診断されていた。6日前より上腹部痛を自覚し前医で腹部単純CTを施行され上腹部を中心とした腹水貯留,free airを認めたため汎発性腹膜炎の診断で,同日当院婦人科に紹介となった。婦人科より上部消化管穿孔の疑いで救命救急センターへ紹介となり,上部消化管穿孔に伴う汎発性腹膜炎の術前診断のもと,緊急開腹手術とした。しかし消化管穿孔部位を検索したが同定できず,子宮底部中央に約5mmの穿孔を認めた。子宮頸癌による頸管狭窄に伴う子宮留膿腫穿孔,汎発性腹膜炎と診断し,穿孔部をデブリードメントし単純縫合閉鎖,腹腔内洗浄,経膣的ドレナージを行った。術後経過良好であり化学療法後,術後121日目に広汎子宮全摘,両側付属器切除,後腹膜リンパ節郭清を施行した。2期的に手術を行うことで救命と癌の根治をめざすことができたと考えられた。
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大西 敏雄, 福島 健自
2021 年41 巻1 号 p.
63-66
発行日: 2021/01/31
公開日: 2021/08/20
ジャーナル
フリー
症例は40歳台,女性。下腹部痛で救急外来受診。腹部X線写真で腸閉塞と診断し腹部CTを行い子宮広間膜ヘルニアと診断し緊急手術とした。腹腔鏡で腹腔内確認し小腸の拡張と子宮広間膜の裂孔に嵌頓した小腸を認めた。腹腔鏡下では解除困難と判断し開腹に移行し子宮円索を切離し捻転解除した。小腸は色調も改善したため温存した。裂孔は左を開放し右は縫合閉鎖した。術後は問題なく経過し退院された。子宮広間膜ヘルニアは比較的まれな疾患であり若干の文献的考察を加えて報告する。
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茂内 康友, 岩下 幸平
2021 年41 巻1 号 p.
67-70
発行日: 2021/01/31
公開日: 2021/08/20
ジャーナル
フリー
症例は81歳の男性。1ヵ月前から下痢,7日前からの腹痛を主訴に当院救急外来を受診した。診察時,腹部全体の圧痛と反跳痛を認めた。腹部CT検査で胆囊の虚脱と多量の腹水貯留を認めた。胆囊結石や腹腔内遊離ガス像は認めなかった。診断目的に腹水穿刺を施行し胆汁様腹水を認め,胆囊穿孔による胆汁性腹膜炎の診断で同日緊急手術を施行した。術中所見で胆囊底部に40mm大の穿孔と腹腔内全体に多量の胆汁様腹水と白苔の付着を認め胆汁性腹膜炎に一致する所見を呈していた。手術は胆囊摘出術と洗浄ドレナージ術を施行し,術後の経過は良好であった。術中所見と切除標本,病理所見から特発性胆囊穿孔と診断された。今回,緩徐な経過を呈した特発性胆囊穿孔に対して緊急手術を施行した症例を経験した。
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黒田 純, 西田 清孝, 大城 幸雄, 丸山 常彦, 島崎 二郎, 下田 貢, 鈴木 修司
2021 年41 巻1 号 p.
71-74
発行日: 2021/01/31
公開日: 2021/08/20
ジャーナル
フリー
水上バイクからの転落事故による小腸穿孔の1例を経験したので報告する。症例は28歳男性で,水上バイクの後部座席から転落し近医に救急搬送された。左大腿骨頸部骨折と診断され,前医入院となった。受傷から2日後に腹痛を訴え,消化管穿孔の疑いで当院へ転院搬送された。CT検査で腹腔内遊離ガスを認め,消化管穿孔と診断した。緊急手術施行し,損傷部位を含め小腸部分切除後端々吻合で再建し,腹腔内洗浄した。同日整形外科により大腿骨頭挿入術も行われた。術後は保存的治療を継続し,13日目には整形外科に転科した。水上バイクからの転落は,全身打撲とジェット水流による衝撃のため,高エネルギー外傷として扱う必要がある。とくに,経時的な全身観察を続けることで,遅発性の臓器損傷の早期発見につながり,治療予後の改善にかかわると考え,若干の文献的考察を含め報告した。
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大惠 匡俊
2021 年41 巻1 号 p.
75-78
発行日: 2021/01/31
公開日: 2021/08/20
ジャーナル
フリー
症例は70歳,女性。2日前より右大腿鼠径部の有痛性腫瘤を認め受診となる。右大腿鼠径部に径4cm大の有痛性腫瘤を触知した。腹部CT検査では腸閉塞所見は認めなかったが,右大腿静脈の内側から伏在裂孔に突出した腫瘤が指摘され,小腸の大腿ヘルニア嵌頓を疑い緊急手術を施行した。ヘルニア内容は長さ4cmの小腸憩室で,大腿管で絞扼され憩室は暗赤色に変色していた。憩室のみを切除しMcVay法に準じて修復した。小腸憩室は腸間膜対側で腸間膜を有し,病理検査から回腸の真性憩室と確定されMeckel憩室と診断した。一般的にヘルニアの部位を問わずヘルニア内容がMeckel憩室であるものはLittréヘルニアと定義される。今回われわれは,Meckel憩室が嵌頓した大腿ヘルニアのまれな1例を経験した。本邦報告例は自験例を含め21例とまれな症例であるので文献的考察を加えて報告する。
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間下 直樹, 野々垣 彰, 谷口 絵美
2021 年41 巻1 号 p.
79-82
発行日: 2021/01/31
公開日: 2021/08/20
ジャーナル
フリー
腹腔鏡下胆囊摘出術時の落下結石が腹腔内膿瘍の原因となることが知られているが,落下遺残クリップ周囲に膿瘍形成した報告例は少ない。症例は87歳男性。胆囊結石症に対して腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した。胆囊は慢性炎症を認め,剝離操作で胆囊壁を損傷し胆汁が腹腔内に流出した。切除胆囊側に使用したサージカルクリップ1個が落下してモリソン窩に遺残していた。手術から3年後,右側腹部痛を主訴に受診した。CT検査でモリソン窩のクリップ周囲に8.0×4.5cmの腹腔内膿瘍を認めた。経皮的膿瘍ドレナージの後にクリップ摘出術を施行した。胆囊摘出術後早期にはモリソン窩に膿瘍を形成していないことから,クリップに付着した感染胆汁が原因で晩期に膿瘍形成したものと推察された。腹腔鏡下胆囊摘出術において,感染が疑われる胆汁が付着した脱落クリップは,放置せず摘出しておくことが望ましい。
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鷹尾 千佳, 馬庭 幸詩, 甲村 稔, 野中 健一, 日下部 光彦
2021 年41 巻1 号 p.
83-87
発行日: 2021/01/31
公開日: 2021/08/20
ジャーナル
フリー
症例は55歳男性。2日前からの右下腹部痛,発熱を主訴に当院を受診した。造影CTで下腹部に辺縁が濃染される15cm大の腫瘤を認め,内部には鏡面像形成およびairの貯留を伴っていた。WBCとCRPの高度上昇も認め,虫垂炎穿孔による腹腔内膿瘍を疑い緊急手術を施行した。開腹すると膿瘍形成はなく,小腸に連続する境界明瞭な小児頭大の腫瘍を認めたため,同部の小腸部分切除術を施行した。腫瘍は充実成分と囊胞成分が混在し,暗赤色の液体が貯留していた。c-kit陽性,核分裂像2/50HPF,最大径15cmで小腸GIST高リスク群と診断した。小腸GISTは発見が遅れるため腫瘍が増大して内部壊死,感染を引き起こし,腹腔内膿瘍と同様の所見および経過をたどることがある。今回その1例を経験したため文献的考察を含めて報告する。
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仲山 孝, 滝口 光一, 井ノ上 鴻太郎, 林 嗣博, 佐藤 和磨, 絹田 俊爾, 羽成 直行, 輿石 直樹
2021 年41 巻1 号 p.
89-92
発行日: 2021/01/31
公開日: 2021/08/20
ジャーナル
フリー
症例は87歳男性。右鼠径部の膨隆と疼痛を主訴に当院受診となった。身体診察上は右鼠径部に発赤を伴う鶏卵大の膨隆を認め,用手環納は困難であった。腹部造影CT検査で,大腿輪より脱出したヘルニア囊内に虫垂が存在し,de Garengeot herniaの術前診断で緊急手術を施行した。腹腔鏡アプローチで手術開始し,ヘルニア門を確認すると,大腿輪に虫垂が嵌頓していた。De Garengeot herniaと診断した。腹腔内からの牽引による嵌頓解除は困難であったため,自動縫合器を用いて虫垂根部を切離し,前方アプローチで虫垂を摘出した。その後,前方より大腿ヘルニア根治術を施行した。De Garengeot herniaにおいて嵌頓解除が困難な場合,前方から摘出する選択は汚染拡大を防ぐうえで有用性が高い。嵌頓解除困難なde Garengeot herniaに対して腹腔内アプローチと前方アプローチの併用が有用であった1例を経験したので報告する。
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廣砂 琢也, 磯崎 哲朗, 早野 康一, 水内 喬, 豊住 武司, 加野 将之, 坂田 治人, 村上 健太郎, 上里 昌也, 林 秀樹, 松 ...
2021 年41 巻1 号 p.
93-97
発行日: 2021/01/31
公開日: 2021/08/20
ジャーナル
フリー
症例は77歳男性。1mのはしごより階段へ転落し左半身を強打,左胸痛が出現し救急搬送された。当院救急科で外傷性左血気胸,左肋骨骨折の診断で緊急入院,左胸腔ドレーンが挿入された。受傷後5日目の胸部X線で左肺透過性低下を認め,CTで左胸腔内に脂肪組織が脱出し,肺が圧排されていた。外傷性横隔膜ヘルニアの診断で同日腹腔鏡下手術を行った。腹腔内を観察すると,他臓器損傷を認めず,横隔膜損傷部位を経由し大網が胸腔内に脱出していた。癒着剝離を行い大網を腹腔内に還納した。ヘルニア門は40×40mmであり,非吸収糸でヘルニア門を水平マットレスで縫合閉鎖した。術後5日目のCTでヘルニアの再発所見なく,経過は良好であった。外傷性横隔膜ヘルニアに対するアプローチには経胸,経腹があり,腹腔鏡は経腹に含まれる。開腹における報告が散見されるなか,修復法とポート配置を意識して腹腔鏡下手術を行ったため,報告する。
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権田 紘丈, 青葉 太郎, 平松 和洋, 有元 淳記
2021 年41 巻1 号 p.
99-102
発行日: 2021/01/31
公開日: 2021/08/20
ジャーナル
フリー
当院は精神科病床を有しておらず,外科的疾患を有する統合失調症患者に関しては他院から紹介となる場合が多い。今回われわれは,2014月1月から2020年1月までに統合失調症で他院精神科入院中に当院一般外科へ紹介となった急性虫垂炎8例の検討を行った。年齢の中央値は56歳で,全例で同日緊急手術となった。開腹手術が6例,腹腔鏡手術が2例であった。7例は壊疽性虫垂炎で,5例に虫垂穿孔を認めた。術後合併症は4例に生じた。統合失調症の症状で当院での入院継続困難となった症例は1例であった。在院日数の中央値は8日で,退院後は全例で紹介元病院へ転院となった。統合失調症を合併した急性虫垂炎症例では虫垂穿孔および術後合併症の頻度が高く,それらのリスクを考慮したうえで周術期管理に臨む必要があると考えられた。
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平島 相治, 小林 博喜, 柳澤 昭夫
2021 年41 巻1 号 p.
103-105
発行日: 2021/01/31
公開日: 2021/08/20
ジャーナル
フリー
症例は26歳男性。腹痛,発熱が出現したために当院を受診した。採血で炎症反応の上昇を認め,CTで50mm大の造影効果を伴う囊胞性腫瘤を認めた。発熱,腹痛,採血で炎症反応の上昇を認め,かつ疼痛コントロールが不良であったことから緊急手術を施行した。囊腫は小腸間膜内に存在したが,小腸との連続性はなかった。囊腫切除に加えて小腸部分切除術を施行した。術後経過は良好で第13病日に退院した。病理組織は仮性腸間膜囊腫と診断され,囊腫の細菌培養検査は陰性であった。腸間膜囊腫は比較的まれな疾患であり,多くは無症状で経過するが,囊腫増大に伴う慢性的な腹部症状や囊腫内感染による急性腹症で発見されうる。当院での腸間膜囊腫切除例について,文献的考察を加えて報告する。
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染谷 崇徳, 林 洋毅, 兒玉 英謙, 島村 弘宗
2021 年41 巻1 号 p.
107-109
発行日: 2021/01/31
公開日: 2021/08/20
ジャーナル
フリー
症例は78歳,女性。1週間前から心窩部痛を認めた。起床時に吐血したため,救急要請し当院へ搬送された。CT検査で魚骨による十二指腸穿通,胆囊結石症と診断した。腹膜刺激症状がなく,free airも認めなかったため,待機的に手術の方針となった。術前に上部消化管内視鏡で穿孔部閉鎖を確認したため,腹腔鏡下魚骨除去術および腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した。魚骨は肝十二指腸間膜内に埋没しており,腹腔鏡下に除去した。術後経過は良好で術後5日目に退院となった。魚骨による十二指腸穿通はまれであり,腹腔鏡手術を施行した報告は少ない。今回われわれは,魚骨による十二指腸穿通に対し,腹腔鏡下に魚骨を除去した症例を経験した。術前にCT検査で魚骨の位置を把握することで,腹腔鏡下での安全で低侵襲な治療が可能であった。同様の症例では腹腔鏡下手術が有用であると示唆された。
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若林 正和, 青木 花奈, 吉田 隼人, 堂本 佳典, 穂坂 美樹
2021 年41 巻1 号 p.
111-114
発行日: 2021/01/31
公開日: 2021/08/20
ジャーナル
フリー
症例は76歳,男性。26年前に直腸癌に対し腹会陰式直腸切断術後である。突然の心窩部痛,嘔吐を主訴に当院を受診した。左下腹部には人工肛門を認め,その外側に膨隆を認めた。腹部骨盤CTで傍ストーマヘルニア嵌頓,腸閉塞と診断し入院とした。嵌頓は用手的に整復可能であり,腸管拡張や浮腫が改善した後に,腹腔鏡下手術を施行した。腹腔内は高度癒着を認め,腹腔鏡下に癒着を剝離し,ヘルニア門を確認した。ヘルニア門は5cmの円形であり,メッシュを使用しSugarbaker法で修復した。経過は良好であり,術後第7病日に軽快退院した。その後,4年間再発は認めていない。傍ストーマヘルニアに対する腹腔鏡下修復術は,ストーマから離れたポート留置により感染のリスクを軽減しながら,適確な診断,嵌頓臓器の評価やヘルニア門の修復が同時に可能であり,有用であると考えられた。
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