2021 年 41 巻 4 号 p. 237-240
症例は72歳女性,肝門部領域胆管癌に対し経皮経肝門脈右枝塞栓術後に肝右葉・尾状葉,肝外胆管切除および胆管空腸吻合術を施行した。術後胆管空腸吻合部縫合不全を合併,術後44病日にドレーンより大量出血を生じ,緊急血管造影で右肝動脈切離断端に仮性瘤破裂所見を認めた。固有肝動脈塞栓術により止血し得た。以後,肝膿瘍形成を認めるも肝不全はきたさず,ドレナージと抗菌薬投与で軽快した。肝切除術後6週間経過してからの固有肝動脈塞栓術であったため,下横隔膜動脈や吻合部を介した空腸動脈からの肝外側副路形成により供血路が保たれたことが肝不全に至らず,肝膿瘍形成のみで耐術できた要因と考えられた。残肝の脱転を伴う肝切除後の仮性動脈瘤破裂に対して固有肝動脈塞栓術を行った際,血行再建術の要否を判断するうえで示唆に富む症例と考えられた。