日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
経カテーテル的動脈塞栓術が有効であった自然脾破裂の1例
庫本 達米田 浩二鈴木 重徳宮本 好晴
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キーワード: 自然脾破裂, 脾破裂, TAE
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2021 年 41 巻 4 号 p. 241-244

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抄録

症例は67歳,女性。左側腹部痛を主訴に救急搬送された。バイタルサインは安定しており,左側腹部に圧痛を認めたが,反跳痛は認めなかった。腹部CT検査でS状結腸の拡張と便塊およびガス貯留を認め,便秘による腹痛と診断した。摘便で腹痛は軽減傾向となったが,経過観察目的に入院となった。第2病日に貧血が進行し,造影CT検査で左上腹部に液体貯留を認め腹腔内出血と診断したが,出血源は同定できなかった。第3病日にさらに貧血が進行したため,再度造影CT検査を施行したところ,脾臓背側に楔状の裂傷を認め,脾破裂と診断した。Transcatheter arterial embolization(以下,TAE)による止血術を行い,その後貧血の進行は認めなかった。外傷歴はなく,悪性腫瘍,血液疾患,ウイルス感染症は原因としては否定的であったため,最終的に自然脾破裂と診断した。その後も脾破裂の再燃なく経過している。今回われわれはまれな自然脾破裂に対し,TAEによる治療が有効であった1例を経験したので報告する。

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© 2021, Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
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