日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
肝細胞癌に対する超音波ガイド下ラジオ波凝固療法後に遅発性の胆道出血をきたした1例
沖 達也山﨑 道夫山本 敦子金子 智亜紀井本 勝治邵 啓全上田 啓介辻川 知之
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2021 年 41 巻 4 号 p. 297-300

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抄録

症例は74歳の女性で,腹痛,背部痛のために救急受診となった。60日前に単発のhepatocellular carcinoma(HCC)に対してradiofrequency ablation(以下,RFA)の施行歴があった。造影CT(dynamic study)上,胆囊から総胆管に血腫があり胆道出血を疑ったが,明らかなextravasationはなく入院で経過観察の方針となった。第6病日に腰背部痛の増悪と吐血を認めたため造影CT(dynamic study)を撮像した所,B8から総胆管・胆囊内に血腫の増大を認め,胆道出血が疑われた。またA8末梢に仮性動脈瘤と思われる小結節状濃染域があり,それに伴う胆道穿破が疑われた。緊急IVRで右肝動脈前区域枝より造影剤のpoolingあり,ゼラチン粒で塞栓術を施行した。以降は出血なく経過している。RFA後に遅発性の胆道出血をきたした症例として,文献的考察を加えて報告する。

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© 2021, Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
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