日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-5
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ポスター発表
ワイルドライス添加パンの美味特性の解析
*望月 美佳岡部 知恵子大澤 俊彦石原 健吾朝見 祐也
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抄録

【目的】ワイルドライスは北アメリカで広く栽培されているイネ科マコモ属の植物である。これまでの研究から、ワイルドライスは白米と比較してたんぱく質、食物繊維、ミネラルなど多くの栄養素が豊富に含まれていることが報告されている。しかし、日本ではほとんど市場に出回っておらず、美味特性や生理機能特性の研究もほとんど行われていないのが現状である。そこで、本研究ではワイルドライス含量を変えた添加パンを焼成し、その物性を評価することとした。

【方法】ワイルドライス粉0~50%練りこんだ食パンを焼成した。気孔率は菜種法により測定し算出した。また、クリープメーターを用いて物性(かたさ、凝集性、付着性)を測定した。測定結果は自動解析装置を用いて解析し、平均値と標準偏差を算出した。色差計により切断面の色調を測定した。

【結果・考察】気孔率はワイルドライス含量が0%の食パンが最も大きく、ワイルドライスが30%以上の場合、0%に比べて気孔率が有意に低下した。物性測定では、10%および20%ではかたさで低値を示した。また、10%から30%の場合、含量が多くなるにつれて凝集性が低下した。一方、40%および50%の物性測定は、試料がもろく崩れてしまい測定不可であった。ワイルドライス含量による膨化や物性の変化は、小麦粉含量低下に伴うグルテン形成量の低下が関与し、また、ワイルドライスに含まれるデンプンの糊化や粘性の影響を受けている可能性がある。今後は、ワイルドライスの糊化特性についても検討が必要である。色差は、含量が多くなるにつれ、L*が低下し、a*およびb*が上昇した。これは、ワイルドライスの外皮に含まれる色素成分が関係していると推測された。

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