2021 年 41 巻 6 号 p. 453-456
症例は開腹歴のない37歳男性。下腹部痛を主訴に前医を受診。腹部単純X線検査でniveau像を伴う小腸ガス像を認めたため,腸閉塞の診断で当院へ紹介となった。腹部造影CT検査で一部壁の造影効果低下を伴う拡張した小腸とバンド形成を認め,内ヘルニアによる絞扼性腸閉塞を疑い緊急手術を行った。回盲弁より40cm口側にMeckel憩室が存在し,その盲端と腸間膜との間に索状物を認め,その間隙に小腸が嵌入し絞扼されていた。索状物の切離解除により血流は改善したため小腸は温存し,Meckel憩室のみ切除した。病理組織学的検査でMeckel憩室盲端部の索状物は血管構造を含んでおり,mesodiverticular vascular band(以下,MVB)と診断した。MVBによる絞扼性腸閉塞は比較的まれな疾患で,本症例のように若年者の開腹歴のない腸閉塞では本疾患も念頭に置く必要がある。