日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
茸による食餌性腸閉塞の2例
伊藤 得路土井 正太郎濱田 徹安田 武生
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2021 年 41 巻 7 号 p. 579-582

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抄録

茸による食餌性腸閉塞の2例を経験したので報告する。【症例1】既往歴に脳性麻痺のある56歳の女性。腹部手術歴はなし。腹痛と嘔吐を主訴に受診した。CT検査でair densityを伴う塊状物と口側腸管の拡張が認められた。意思疎通を図ることが困難であり,腸管壊死の可能性が否定できないため緊急手術を施行した。回腸末端から約30cm口側に可動性のある腫瘤を認め,切開して椎茸を摘出した。【症例2】39歳の女性。腹部手術歴はなし。腹痛と嘔吐を主訴に受診した。CT検査でair densityを伴う塊状物と口側腸管の拡張が認められた。前日に茸を含むすき焼きを摂取したことを聴取し,食餌性腸閉塞の可能性を考慮し,緊急手術を行った。回腸末端より50cm口側に塊状物を確認し,腸閉塞の原因と考えられた。腸を切開してエノキ茸を摘出した。腹部手術歴のない腸閉塞症例では食餌性腸閉塞を鑑別にあげ診療にあたる必要がある。

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© 2021, Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
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