2023 年 43 巻 4 号 p. 717-722
日本腹部救急医学会会員に対してabdominal compartment syndrome(以下,ACS)に関するknowledge gapを調査した。回答者の約半数が,腹部救急疾患を専門としており,ほとんどがACSの病態について知識があると回答したが,正しく理解していると思われる割合は極めて低かった。Intra-abdominal hypertension(以下,IAH)/ACS 診療未経験との回答が多かったが,経験症例のなかに見逃されたIAH/ACSが存在している可能性も考えられる。ACSに関するガイドラインの活用を啓発するとともに推奨通り,危険因子と考えられる症例については積極的にintra-abdominal pressure(IAP)を測定するべきである。さすれば,経験症例は増えるであろうし,ひいてはIAH/ACSをきたしうる病態の予後改善につながるかもしれない。回答者は会員の6%でありその半分以上が外科医であった。したがって,救急科・集中治療専門医を対象とした調査では異なった結果が得られるかもしれない。学会を越えた多施設でIAH/ACSの疫学を調査する必要があろう。