2023 年 43 巻 4 号 p. 737-742
急性膵炎はintraabdominal hypertension(以下,IAH),abdominal compartment syndrome(以下,ACS)の危険因子である。ACSを発症した場合の死亡率は高く,いかにIAH/ACSを回避するかに注力する必要がある。腹腔内圧上昇にかかわる因子は膵臓自体の炎症や腸管浮腫,腹水など多くあるが,われわれが介入できるものとして適正な輸液管理はIAH/ACSを回避するうえで重要である。IAH/ACSに対しては輸液戦略を含む非侵襲的治療から侵襲的治療へとstep-up approachを行い外科的減圧術の回避をめざす。近年,急性膵炎によるACSに対して外科的減圧術を施行する機会は減っているものの,IAPがコントロール困難な場合には外科的減圧術を迅速に行う必要がある。本稿では,腹腔内圧を上げないための輸液戦略をはじめ,非侵襲的治療から侵襲的治療の流れと近年の報告,さらに自験例をもとにpit fallを含めて提示する。