日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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特集:腹部救急領域におけるIVRの最近の知見,手技
緊急血管塞栓術における塞栓物質の選択と使用方法
上嶋 聡嶺 貴彦池田 慎平八方 政豪斉藤 英正杉原 史恵上田 達夫汲田 伸一郎
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2023 年 43 巻 5 号 p. 811-817

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抄録

腹部救急領域における経カテーテル的動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:以下,TAE)へのニーズは,機器の進歩に伴って近年ますます高まっている。腹部救急領域で用いられる塞栓物質としては,固形材料であるゼラチンスポンジと金属コイル,シアノアクリレート系液体接着剤であるn-butyl-2-cyanoacrylate(以下,NBCA)の使用頻度が高い。ゼラチンスポンジは汎用性の高い一時的塞栓物質であり,血流を停滞させて血栓化を促進する。この塞栓メカニズムには凝固能が大きく関与するため,症例によっては凝固能への依存が少ないNBCAが適する。金属コイルは留置部位において強い塞栓効果を発揮するため,限局的な血管閉鎖を求める場合に効果的である。最良のTAEを行うためには,塞栓物質の特徴を理解し,病変の形態や血行動態,患者背景に応じて適切な塞栓物質を選択する必要がある。本稿では,代表的な塞栓物質の特徴と使用方法について概説する。

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© 2023 日本腹部救急医学会
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