2024 年 44 巻 4 号 p. 615-619
症例は53歳,男性。検診の上部消化管造影検査を受けた翌日に下腹部痛が出現し,当院を受診した。来院時,左下腹部に圧痛を認め,血液検査ではWBC 15,460/mm3,CRP 1.87mg/dLと炎症反応の上昇を認めた。腹部CT検査ではS状結腸周囲に腸管外ガス像を認め,S状結腸穿孔が疑われた。また,骨盤内にバリウムの停滞を認めた。S状結腸穿孔と診断し,緊急手術を施行した。術中所見では,SD junction付近のS状結腸に穿孔部を認めた。また,直腸内に鶏卵大の硬い糞石を触知した。穿孔部を含めたS状結腸の部分切除・吻合と,糞石の摘出を行い,回腸人工肛門造設を行って手術を終了した。術後経過は良好で,3週間後に退院し,約2ヵ月後に人工肛門閉鎖術を施行した。本邦での上部消化管造影検査後の大腸穿孔は100万件に3例程度で発症頻度は少ないが,重篤な合併症であり注意を要する。本症例の経過,術中所見に文献的考察を加えて報告する。