日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
インドシアニングリーン術中蛍光造影で広範囲腸管切除を回避した絞扼性腸閉塞の1例
宮内 隆行石川 正志川井 康裕
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2024 年 44 巻 4 号 p. 643-647

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抄録

絞扼性腸閉塞の術中血流評価で,近年近赤外線カメラを用いたICG蛍光造影(ICG fluorescence angiography:以下,ICG-FA)施行例が報告されている。新生児低酸素脳症がありその後遺症を併存する42歳,女性。受診2日前に腹痛を訴え嘔吐も出現し当院を受診した。造影CT検査で広範囲腸管血流低下を伴う絞扼性腸閉塞と診断し緊急手術を施行した。空腸起始部・腸間膜根部の癒着から生じた広範囲小腸の捻転が原因であった。癒着剝離し絞扼解除後の肉眼的評価で,広範囲暗赤色小腸(空腸から回腸,220cm)と連続した暗褐色小腸(回腸70cm)を認め,合計300cmの広範囲腸管虚血と判断した。ICG-FA評価は,肉眼的に暗赤色であった広範囲小腸は良好な蛍光像(W,口側 100cm)とモザイク状の不規則な蛍光像(G,肛門側 150cm)の,相異なる蛍光像評価となった。肛門側暗褐色回腸50cmは腸管蛍光像を欠くBと評価した。G評価小腸の全切除は広範囲腸管切除となるためG評価小腸のうちvasa rectaの蛍光・拍動が不良と判定した領域のみ切除した。温存したG評価小腸は47時間後の二期的手術で血流改善(W)を確認し,一部追加切除後に腸管吻合を施行した。ICG-FAによりG評価の虚血腸管は温存可能な場合があり,広範囲腸管切除が危惧される症例では有用な可能性がある。

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