2024 年 44 巻 5 号 p. 731-735
症例は72歳,男性。左脳梗塞に対する治療後,リハビリ目的に転院した。経鼻胃管による栄養投与を行っており,転院後6日目に嘔吐と血圧低下をきたし,CT検査で胃壁内気腫と広範な門脈気腫を認め当科紹介となった。画像から腸管虚血や壊死の所見はなく,胃壁内気腫症と続発した門脈気腫と考え,保存的治療を行った。発症後6日のCT検査で胃壁内気腫,門脈気腫はともに消失し,その後の上部消化管内視鏡検査では,活動性の潰瘍や粘膜欠損などは認めなかった。胃壁内に気腫を生じる病態はさまざまな要因で発症し,経鼻胃管や長期臥床,気管挿管などが原因となる。今回われわれは経鼻胃管留置中に発症した胃壁内気腫症と門脈気腫が保存的治療で軽快した1例を経験した。本症例の病態について考察を加え,本邦の症例をまとめ報告する。