2024 年 44 巻 6 号 p. 823-827
症例は66歳,男性。腹痛を主訴に救急搬送された。腸管穿孔によるプレショック状態に対して緊急で試験開腹術を施行した。胃は体上部を中心に広範に壊死しており大弯側前壁に破裂部位を認めた。術中に血圧が低下したため噴門側胃切除を行い後日二期的に再建を行う方針とした。術後に敗血症性ショック,播種性血管内凝固症候群,急性呼吸窮迫症候群などを認め,集中治療を行った。その後腸管内圧上昇による門脈気腫症を認め横行結腸と空腸に双孔式人工肛門を造設,翌日再開腹して空腸瘻は閉鎖し横行結腸で単孔式人工肛門を造設,空腸に減圧目的で経管栄養チューブを挿入し一時的に閉腹した。全身状態の改善後食道残胃吻合術を行った。術後minor leakageを認めたが保存的治療で軽快しリハビリ目的に転院となった。急性胃拡張による胃破裂は汎発性腹膜炎が必発のためdamage control strategyが選択肢になり得ると考えられた。