2025 年 45 巻 1 号 p. 37-40
症例は40歳台の男性で,左側腹部を打撲した後,腹痛を主訴に当院を受診した。腹部造影CTでⅡ度脾損傷と血性腹水を認め,外傷性脾損傷と診断した。循環動態は安定しており保存治療で入院としたが,翌日,貧血の進行と血性腹水の増大を認め,脾動脈に対して経カテーテル的動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:以下,TAE)を施行した。TAE後6日目に腹痛と炎症反応の上昇を認めた。腹部造影CT検査を行うと脾膿瘍を認め,12Frアスピレーションキットで経皮的ドレナージを施行した。その後経過良好で,挿入後8日目に抜去し退院としたが,退院後37日目に脾膿瘍が再燃し再入院となり,再度ドレナージを行ったが改善乏しく,脾臓摘出術を行った。術後12日目に退院とした。脾動脈塞栓後は脾膿瘍の発症を念頭に置き,保存治療で改善乏しい場合は遅滞なく手術を考慮することが重要である。