2025 年 45 巻 1 号 p. 41-45
症例は75歳,男性。4年前に胸部食道癌に対して根治術施行後,肺転移とリンパ節再発をきたし,肺切除,癌免疫療法,化学療法による集学的治療継続中であった。背部痛を主訴に外来を受診した。血液検査では炎症反応高値のため,CT検査では感染のfocusははっきりしないものの,入院下での抗生剤加療を開始した。しかし改善乏しく,CT検査を再検した結果,心囊内の遊離ガス像を認め,再建胃管と心囊内との交通が考えられ,再建胃管潰瘍心囊穿破の診断で緊急手術を行った。経裂孔的に穿孔部へアプローチして肝円索充填と大網被覆を施行し,胸骨正中切開で開胸して心囊ドレナージも行った。術後48日目に肝不全により死亡退院となったが,重症病態にもかかわらず術後21日目には経口摂取可能な状態まで回復できた。このような症例には外科的心囊ドレナージが不可欠であり,可能な限り穿孔部へのアプローチを行い,縫合閉鎖や充填などの処置を行うべきであると考える。