2025 年 45 巻 1 号 p. 56-59
症例は79歳,女性。アルツハイマー病とパーキンソン病の既往があった。有鉤義歯を誤嚥し前医を受診した。内視鏡的摘出が困難であり,使用したスネアも抜去困難であったため切断した状態で当院を紹介受診した。前医の画像検査では胃内と十二指腸内に異物を認めたが,当院で施行したCTでは中部食道内と小腸内に異物を認めた。また,縦隔気腫も認め食道穿孔が疑われた。食道穿孔と小腸異物と診断し,開胸開腹食道異物除去,小腸異物除去,洗浄ドレナージを施行した。術後は縫合不全と誤嚥性肺炎を発症したが,55日目にリハビリ転院した。食道異物は内視鏡的治療が第1選択となることが多いが,有鉤義歯は内視鏡的に摘出困難で,その形態から穿孔をきたしやすく,二次的な穿孔を引き起こすことがある。今回,内視鏡的操作によって生じた食道穿孔に対して緊急手術を施行した症例を経験したため報告する。