2025 年 45 巻 1 号 p. 52-55
症例は19歳,男性。バイクで走行中に雨による視界不良でハンドル操作を誤り,ガードレールに衝突し,強い腹痛を訴え当院へ救急搬送となった。下腹部を中心に筋性防御と反跳痛を認めた。腹部CT検査で骨盤内に少量の液貯留を認めたが,明らかな遊離ガスは認めなかった。高エネルギー外傷を誘引とした腹膜刺激症状を認めたことから,外傷性腹腔内臓器損傷の疑いと判断し,緊急で腹腔鏡下手術を行う方針とした。左傍結腸溝に血性腹水を伴った10mm程度穿孔した小腸を認め,他に明らかな穿孔部位や臓器損傷を認めなかった。体外で穿孔小腸を含めた腸間膜の色調不良を認める約50cmの小腸を切除し再建した。術後経過は良好で,術後16日目に退院した。高エネルギー外傷後の急性腹症では,CT検査で診断に苦慮することもあるため,腹膜刺激症状などの身体所見から,総合的に判断し,腹腔鏡による緊急手術を考慮すべきと考えられた。