2025 年 45 巻 3 号 p. 404-407
症例は72歳,女性。倦怠感を自覚し当院救急外来を受診し,待合で顔面蒼白,意識レベルの低下を認めた。血液検査で高度貧血,CT検査で胃角部後壁に胃潰瘍病変を認め膵前面の脂肪織は消失していた。出血性ショックを伴う膵穿通性胃潰瘍と診断し,緊急開腹手術を選択した。開腹すると,潰瘍が膵体部へ穿通し,剝離困難であった。膵体尾部切除術を伴う胃切除も検討したが,全身状態などを考慮し潰瘍底を膵臓に残す胃部分切除術を施行した。術後膵液瘻を認め,血管内治療を要したが,術後128日目に退院となった。膵臓への穿通性胃潰瘍に対しては,膵臓の切除が必要な場合があり,慎重な術式選択が求められる。今回出血性ショックを呈した膵穿通性胃潰瘍に対して,膵切除を回避し救命し得た1例を経験したので報告する。