2025 年 45 巻 4 号 p. 470-472
症例は72歳,女性。下腹部痛を主訴に来院した。1週間前にバリウム造影検査を行い,直近5日間排便を認めていなかった。その後下腹部痛が出現したため外来受診。腹部所見では下腹部に限局する圧痛と筋性防御を認めた。血液検査では炎症反応の上昇を認め,腹部造影CT検査ではバリウム混じりの便塊,S状結腸近傍の腸管外ガスと周囲の脂肪織混濁を認めた。バリウム造影検査後のS状結腸穿孔,腹膜炎と診断し,緊急手術も検討したが,腹部所見が乏しいこと,腹痛のピークが過ぎていたこと,下腹部に限局した痛みで,汎発性腹膜炎になっていなかったことから保存的治療を選択した。経過良好で手術は要さずに第15病日に退院した。バリウム造影検査後の消化管穿孔の頻度は高くはないが,発症すると緊急手術を要することが一般的であり,治療に難渋することが多い。今回,バリウム造影検査後の消化管穿孔で手術を回避できた1例を経験したため報告する。