日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
術後に局所陰圧閉鎖療法を用いた重度肝硬変を伴う臍ヘルニア嵌頓の1例
今西 涼華山本 昌明徳山 信嗣河合 賢二酒井 健司加藤 健志平尾 素宏
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2025 年 45 巻 7 号 p. 605-608

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抄録

症例は72歳,男性。アルコール性肝硬変(Child-Pugh 10C)の既往。1年前から臍ヘルニアを認めるも,重度の肝硬変があり経過観察となっていた。3日前から嘔気と腹部膨満感が出現し,傾眠傾向も認め精査加療目的に当院へ救急搬送された。血液検査でCRP24.7mg/dLと高値であり,臍部に手拳大の発赤熱感腫脹と腹膜刺激症状を認めた。腹部造影CTで多量の腹水貯留あり,臍ヘルニアの嵌頓を認めた。ヘルニア囊内に小腸の脱出を認めるが穿孔所見は認めなかった。以上より,臍ヘルニア嵌頓による小腸壊死,急性汎発性腹膜炎と診断した。同日緊急で小腸部分切除,臍ヘルニア修復術を施行した。閉創後,術後創傷治癒遅延の予防に正中切開創へ局所陰圧閉鎖療法を用いた。術後創部感染などの合併症なく,術後13日目に退院となった。重度肝硬変を伴う臍ヘルニア嵌頓に対して局所陰圧療法を行うことは,術後合併症の軽減にもつながり,有用であると考える。

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