2025 年 45 巻 7 号 p. 627-630
腹膜垂は結腸の小葉状脂肪組織で,まれに腸閉塞の原因となる。今回われわれは,ループ状S状結腸腹膜垂による腸閉塞に対して腹腔鏡手術を施行した1例を経験したので報告する。症例は86歳,女性で,上腹部痛を主訴に救急搬送され,絞扼性腸閉塞と診断された。活動性せん妄のため,保存的治療の後に腹腔鏡下腸閉塞解除術を施行した。小腸がS状結腸の腹膜垂先端で癒着して形成したループに嵌頓しているのを確認。腹膜垂切除と小孔開放を行った。本邦報告のループ状腹膜垂による腸閉塞は自験例を含め12例であった。発症部位はS状結腸に多く,75%が開腹歴のない患者にみられた。術前診断は困難で,CT検査でも特異的所見に乏しい。したがって開腹歴のない原因不明の絞扼性腸閉塞では本疾患を念頭に置く必要がある。そのうえで診断と治療を兼ねた腹腔鏡手術は有用なアプローチと考えられた。