2026 年 46 巻 3 号 p. 402-405
症例は49歳,女性。入院の3日前に急性の下腹部痛と便秘を主訴に救急搬送された。初診時の単純CTで糞便性腸閉塞と診断され一度帰宅したが,その後も症状が改善せず再度救急搬送された。再診時の造影CTでS状結腸の狭窄および腸間膜血管と子宮動脈の交差像を認めたことから,子宮広間膜裂孔ヘルニアと診断し同日入院した。待機的に腹腔鏡手術を施行し,左子宮広間膜の2×4cm大の裂孔から脱出しclosed loopを形成していたS状結腸を整復し,裂孔を縫合閉鎖した。術後経過は良好で,術後9ヵ月間再発を認めていない。子宮広間膜裂孔ヘルニアの結腸脱出例は文献上本症例を含めて8例のみとまれで,術前診断率は50%であった。診断の手がかりとなった子宮動脈と腸間膜血管の交差像は,後方視的には単純CTでも描出されており本疾患の診断に有用な所見と考えられた。多産・中年女性の大腸閉塞では,本疾患を鑑別にあげるべきである。