2026 年 46 巻 3 号 p. 434-437
爆傷は本邦では比較的まれな外傷である。腹部爆傷に対して腹腔鏡手術が有用であった1例を経験したので報告する。症例は40歳台,男性。工場でステンレスパイプの爆発により受傷し,救急搬送された。Vital signは安定しており,顔面,四肢のほか左側腹部に複数の挫創を認めた。腹部所見は創部の圧痛のみで,腹膜刺激兆候はなかった。造影CT検査で腹腔内遊離ガスと1つの腹腔内異物を認めたため,緊急手術を施行した。腹腔鏡下に広く腹腔内を観察し,下行結腸前面の異物と同部位の漿膜損傷を認め,異物除去と腸管修復を行った。日本外傷学会消化管損傷分類2008のD Iaと診断した。術後15病日に自宅退院した。全身状態と腹腔内条件が許容できれば,腹部爆傷に対する腹腔鏡手術は有用な手段であると考えられた。