2026 年 46 巻 3 号 p. 464-467
症例は40歳台,男性。2年ほど前からの繰り返す尿路感染で精査され,膀胱鏡で膀胱腸瘻が疑われて当院外科に紹介となった。膀胱鏡では膀胱頂部右側に1cmほどの表面平滑な腫瘤があり,腸管粘膜様の所見であり生検では大腸型の粘膜と診断された。画像検査では膀胱の右側壁に虫垂先端が貫入していた。また,5年ほど前に腹部違和感で撮像されたCTにおいて虫垂先端を中心に多数の憩室を認めた。これらより虫垂憩室炎による膀胱虫垂瘻の診断で泌尿器科と合同で腹腔鏡下手術の方針となった。手術では腹腔内は膀胱に癒着した虫垂を認めたが,悪性腫瘍などの関与を疑う所見は認めなかったため虫垂切除と膀胱部分切除とし,膀胱は縫合閉鎖とした。術後は良好な経過で10日目に退院した。虫垂憩室炎による膀胱虫垂瘻はまれな病態であり,悪性疾患の除外は必要であるが泌尿器科と連携し腹腔鏡で低侵襲に治療可能であった。文献的考察を加えて報告する。