2026 年 46 巻 5 号 p. 616-618
症例は34歳の男性。既往歴,家族歴に特記事項なし。排便は学童期より2〜3日に1回であった。排便中におきた腹部全体の激痛のため当院を受診した。腹部は板状硬で腹膜刺激症状を認め,CT検査にて腹腔内遊離ガスと便塊像を認めた。大腸穿孔および腹膜炎の診断にて同日緊急開腹手術を施行した。S状結腸の腸間膜対側部に3cmの穿孔部を認め,腹腔内に糞便の流出を認めた。穿孔部周囲に腫瘍,憩室,虚血などの明らかな器質的病変や炎症性変化は認めず,特発性大腸穿孔と診断した。術後の大腸内視鏡検査では穿孔部周囲に憩室や穿孔の原因になり得る炎症性腸疾患は認めなかった。術後経過は良好で第34病日に退院した。若年者においても大腸穿孔の鑑別診断に特発性大腸穿孔を念頭に置く必要がある。