2026 年 46 巻 5 号 p. 619-626
CTで術前診断し得た右大腿ヘルニア内虫垂嵌頓(de Garengeot hernia)の1例を報告する。症例は80歳男性。右鼠径部痛と膨隆を主訴に受診し,CTで大腿輪からヘルニア囊内へ連続する虫垂を認めた。腸閉塞や膿瘍はなく,同日緊急手術を行った。腹腔鏡で汚染が軽度であることを確認し虫垂を還納後,前方アプローチに移行しDirect Kugel Patch Ⓡによりヘルニア修復,さらに腹腔鏡下に虫垂切除を施行した。病理は壊疽性虫垂炎で,術後合併症なく第6病日に退院した。腹腔鏡併用は汚染度と還納可否を安全に評価でき,腹腔内と交通させずに前方アプローチでメッシュ修復を選択し得た。炎症軽度例では腹腔鏡併用による一期的メッシュ修復が低侵襲で有用な選択肢と考えられた。