2026 年 46 巻 6 号 p. 701-704
Chilaiditi症候群は,肝臓と横隔膜の間に消化管が嵌入するまれな病態である。今回,本症候群を合併した急性壊疽性胆囊炎に対し,腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した1例を経験した。症例は76歳,男性。右季肋部痛を主訴に来院。画像検査で胆囊の著明な腫大と壁肥厚,胆石,肝臓と右横隔膜の間への結腸の嵌入を認めた。嵌入した腸管の影響で,安全にPTGBDを施行することが困難であり,緊急手術を施行した。胆囊が結腸と横隔膜に強固に癒着していたが,慎重な腹腔鏡操作で剝離可能であり,腹腔鏡下に胆囊摘出術を完遂した。本症候群を合併した胆囊炎の手術症例の本邦での報告は自験例を含めて6例あるが,腹腔鏡下手術を完遂し得たのは3例のみであった。解剖学的変位に伴う術中合併症のリスクを考慮し,治療方針や術式の十分な検討が必要だが,詳細な術前画像評価と慎重な腹腔鏡操作により,腹腔鏡下手術は治療選択肢となり得る。