2026 年 46 巻 6 号 p. 698-700
症例は61歳の女性。嘔気・嘔吐の発症から2日後にバリウムによる胃透視検査を受け,症状の再燃増悪を主訴に前医を受診し,腸閉塞の診断で当院へ紹介となった。CT検査で,広範に拡張した小腸に多量のバリウム貯留と液面形成を認め,腸閉塞の診断となった。保存的加療が奏効せず,バリウムによる重篤な合併症を危惧して翌日に緊急手術を行った。術中,S状結腸間膜の左葉欠損部に小腸が嵌頓しており,S状結腸間膜内ヘルニアによる腸閉塞の診断となった。S状結腸間膜内ヘルニアはまれで,本症例ではバリウム貯留により術前診断が困難であったが,合併症リスクを考慮して早期手術を選択したことが良好な転帰につながった。S状結腸間膜内ヘルニアを消化管通過障害の鑑別としてあげ,とくにバリウム検査後の場合には早期診断と外科的介入が重要であると考えられた。