2026 年 46 巻 6 号 p. 711-715
腹壁圧迫を併用することで経肛門的に摘出し得た直腸異物の2例を報告する。症例1は40歳台,女性。シリコン製性玩具を肛門に挿入したところ抜去困難となり救急紹介された。直腸診で異物の視認・触知は困難であったが,単純CT検査で異物先端が腹壁近傍に位置していたため,腹壁を注意深く圧迫したところ異物を触知し,肛門方向へ押し出すことで経肛門的摘出が可能であった。症例2は80歳台,男性。木製性玩具を肛門に挿入後,抜去困難となり救急受診した。腹壁に硬結を触知し,単純CT検査にて硬結が異物先端であることを確認した。異物は骨盤内に嵌入し直腸診では可動性を欠いたが,全身麻酔導入後は筋弛緩効果により腹壁圧迫で可動性が生じ,経肛門的摘出が可能となった。直腸異物の摘出にあたっては,異物の位置や固定様式を正確に評価し,安全かつ低侵襲な摘出方法を選択することが重要である。