日本腹部救急医学会雑誌
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癒着性イレウスに対する高気圧酸素療法の効果
小松 大介小池 祥一郎金井 敏晴三原 基弘中村 俊幸清水 忠博岩浅 武彦
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2003 年 23 巻 5 号 p. 709-712

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抄録

1999年10月から2002年9月までに国立松本病院で高気圧酸素療法 (Hyperbaric Oxygenation Therapy: HBO) が施行された癒着性イレウス症例につきretrospectiveに検討を行った. 保存的療法として, 胃管およびイレウス管を併用せずHBOを単独施行した. 対象となったのは57例で, 男性34名 (60%), 女性23名 (40%) で, 平均年齢は62.8歳 (15~90歳) であった. 胃・大腸・直腸癌術後の症例が約半数 (51%) を占めていた. HBOによりイレウスが解除されたのは49例 (86%) で, 経口開始までの期間は平均2.4日であった. HBO無効は8例 (14%) 存在し, イレウス管により5例解除され, 3例で外科的治療を要した. 副作用は重篤なものはなく, 軽度の耳痛が認められたのみであった. HBOは低侵襲であり, 癒着性イレウスに対する保存的治療として積極的に試みられるべき治療法であると考えられた.

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